人文社会コース

科目
区分
  授業科目の名称 講義等の内容
人文社会コース 研究指導科目 人文社会演習 学生が設定したテーマをベースとして、研究論文を作成するために必要な技術や理論を学ぶ。また、リサーチや分析の後で、自分の考察及び結論をさまざまな資料を駆使して、論理的かつ説得力のある文章で表現する方法を学ぶ。
コース基盤科目 人文社会基礎論 地域や国際的な場において、新たな共生社会を切り開いていく創造力を培うことを目的とし、人文科学と社会科学の諸学問を融合させ、創造性の基盤となる多様な視点を獲得し、実践に移す方法を習得します。この授業は文学・芸術学・歴史学・考古学・文化人類学・地理学・社会福祉学の9人の教員による講義形式をとり、講義全体を貫くテーマは「異と同」です。各学問分野に立脚して「異なるものと同一のもの」「異なるものとの接触」など「異と同」について分析していきます。
コース専門科目 日本文学特殊講義ⅠA 平安時代の作品(勅撰集、物語、歌合、家集、仮名記録、歌学書等)の講読を通して、中古文学に関わる知識と基本的な文献の調査方法、研究方法を習得することを目指します。
具体的には、(1)中古文学に関する調査・研究の技能を習得すること、(2)中古文学に関する文献の内容を的確に把握すること、(3)調査結果を論理的に説明することができること、の3点の力を身につけることを目標とします。初回から第4回までは、調査方法に関する講義を行い、第5回から講義内容を踏まえた実践と講読を進めていきます。
日本文学特殊講義ⅠB 『古今和歌集』序文により、島根県(出雲国)は和歌発祥の地として広く知られており、様々な和歌作品との縁が深い土地でもあります。第1回から9回では、上代から中世初頭までの和歌史の流れを、島根県に関連する作品を中心に学んでいきます。11回から14回では、いくつかのトピックに沿って現在の和歌文学研究について説明します。講義を通して、(1)上代から中世初頭までの和歌史の展開を把握し、各作品の特徴を説明できること、(2)和歌文学研究に関する基礎的な知識を身につけること、(3)作品を適切に分析することによって、論理的に結論を導くことができること、の3点の力を身につけることを目指します。
日本文学特殊講義ⅡA 日本近世文学史上の代表的な作品について、文献を読解しつつ、その特色・意義を探究する方法について学ぶこと、同時に古典籍に関して、書誌学的観点による理解力を習得することを目標とする。
近世期前半(1600年頃~1700年代前半)の文学史の中から、『清水物語』『祇園物語』等の仮名草子を取り上げ、また近世初期の文学と深い関連を持つ出版の問題について論じる。次に、芭蕉自筆本『奥の細道』や俳論に即して芭蕉俳諧を、中国小説や実在事件との関係などの問題を中心に西鶴の浮世草子を取り上げる。近松門左衛門の浄瑠璃と全盛期の浄瑠璃については、近松の作劇論(『難波土産』所収)と関連づけて論じる。
また、古典籍の実物とデジタル資料の文学研究への活用に関しても、写本・版本に関わる諸問題、書籍の形態と作品内容との関連性の問題に即して論及する。
日本文学特殊講義ⅡB 日本近世文学史上の代表的な作品について、文献を読解しつつ、その特色・意義を探究する方法について学ぶこと、同時に古典籍に関して、書誌学的観点による理解力を習得することを目標とする。
近世期後半(1700年代後半以降)の文学史の中から、都賀庭鐘・上田秋成・伊丹椿園の初期読本に関して、特に中国白話小説からの影響の問題を中心に論じる。浄瑠璃『妹背山婦女庭訓』等について、歴史を素材にして作劇する方法について考察する。山東京伝等の黄表紙に関して、寛政の改革との関係を中心に論じる。後期読本については、山東京伝・小枝繁・曲亭馬琴の作を取り上げ、読本独特の長編構成の方法に関して述べる。
また、古典籍の実物とデジタル資料の文学研究への活用に関しても、特に出版の営みが後期読本の隆盛に重要な役割を果たしたという問題に関連づけて論及する。
日本文学特殊講義ⅢA 太宰治・井伏鱒二・牧野信一らの諸作品をテキストとし、講義形式で個々の作品を解説していく。この授業では戦前の文学作品を集中的に取り上げる。それを通じて以下の4点を授業の目標とする。1.具体的な作品読解を通じて、昭和文学史(戦前)を理解することができる。2.太宰治・井伏鱒二・坂口安吾などの作家に関して豊かな知見を有することができる。3.個々の文学作品に関して、学部で得た知見に基づき、さらに高度な読解ができる。4.文学作品や文学史に関する論理的文章を書くことができる。上記4点が修得できたかどうかは複数回のレポート提出によって確認する。
日本文学特殊講義ⅢB 太宰治・坂口安吾・石川淳らの諸作品をテキストとし、講義形式で個々の作品を解説していく。この授業では戦中から戦後の文学作品を集中的に取り上げる。授業内容は日本文学特殊講義ⅢAと連続しているが、必ずしもⅢAを受講しておくことを必要とはしない。以下の4点を授業の目標とする。1.具体的な作品読解を通じて、戦後文学の様相を理解することができる。2.太宰治・福永武彦・坂口安吾などの作家に関して豊かな知見を有することができる。3.個々の文学作品に関して、学部で得た知見に基づき、さらに高度な読解ができる。4.文学作品や文学史に関する論理的文章を書くことができる。上記4点が修得できたかどうかは複数回のレポート提出によって確認する。
日本文学特別演習ⅠA 修士論文で取り組む課題をテーマとし、作品や関連する文献の講読、研究経過に関する報告と議論を通して、平安時代の文学に関する理解を深め、修士論文の作成に必要な知識と技能を習得することを目指します。具体的には、(1)古典文学に関する調査・研究の技能を習得すること、(2)専門分野に関する文献の内容を的確に把握し、他者に説明することができる能力、(3)資料調査、研究報告などの実践を通して、修士論文の構想を練り、研究計画を立案したうえで具体的な研究に取り組むことができる能力、以上の3つの力を身につけることを目指します。
日本文学特別演習ⅠB 修士論文で取り組む課題をテーマとし、作品や関連する文献の講読、研究経過に関する報告と議論を通して、平安時代の文学に関する理解を深め、修士論文の作成に必要な知識と技能を習得することを目指します。具体的には、(1)古典文学に関する調査・研究の技能を習得すること、(2)専門分野に関する文献の内容を的確に把握し、他者に説明することができる能力、(3)資料調査、研究報告などの実践を通して、修士論文の構想を練り、研究計画を立案したうえで具体的な研究に取り組むことができる能力、以上の3つの力を身につけることを目指します。
日本文学特別演習ⅡA 日本近世文学史上の作品について、調査に基づいて文献を読解し、その特色・意義を探究する方法について学ぶこと、同時に古典籍やデジタル資料を文学研究に活用する能力を習得することを目標とする。
近世期前半(1600年頃~1700年代前半)の文学史の中から、軍記的文学、浮世草子、浄瑠璃を取り上げる。まず、大坂の陣を材にした『大坂物語』と『厭蝕太平楽記』を対比しながら講読し、それぞれの描写の特色や構成の方法について把握する。次に、西鶴の浮世草子2作について、原拠となった作品との対比も行いながら、描写方法の特色を捉える。近松門左衛門の浄瑠璃2作を、調査に基づいて読解し、現代の上演の映像も参照しながら、近松の作劇法の特色を把握する。
また、『厭蝕太平楽記』の写本や近松浄瑠璃の版本など、附属図書館や研究室の所蔵する実物に拠りながら、写本・版本の形態的特徴などについて考察する。
日本文学特別演習ⅡB 日本近世文学史上の作品について、調査に基づいて文献を読解し、その特色・意義を探究する方法について学ぶこと、同時に古典籍やデジタル資料を文学研究に活用する能力を習得することを目標とする。
近世期後半(1700年代後半以降)の文学史の中から、読本を年代順に取り上げる。まず初期読本の祖である都賀庭鐘の作から『繁野話』『莠句冊』『義経磐石伝』を取り上げ、中国白話小説との関係等について調査しつつ講読する。次に、速水春暁斎の絵本もの読本2作について、原拠となった実録との異同の問題を考察する。最後に山東京伝の読本について、演劇との関係を中心に調査しつつその特色を考察する。併せて、特に後期読本の読者への普及という点で重要な役割を果たした出版、貸本屋の問題について、版本の実物や本学附属図書館の蔵する近世貸本屋旧蔵書を通じて探究する。
日本文学特別演習ⅢA 夏目漱石の初期作品と漱石関連作家の作品を対象として演習形式で行う。数回の講義をはさみながら、学生がレジュメを作成し模擬授業形式で発表を行い、他の学生が質問者として参加する形態をとる。授業の目的は、1.明治期の文学状況を、とりわけ漱石や写生文関連の文学状況が正確に理解できる。2.学部専門教育での知見を踏まえ、小説作品の高度な読み方を習得できる。3.レジュメによって自己の知見を論文化することができる。4.他者の発表を聴き、それに対して適切な質問・批評を行うことができる。以上4点である。成績は1回の発表と、毎回の意見シートの提出で評価する。
日本文学特別演習ⅢB 明治期の自然主義作品や夏目漱石作品を対象として演習形式で行う。授業内容は日本文学特別演習ⅢAに連続するものであるが、ⅢBのみの受講も可能である。数回の講義をはさみながら、学生がレジュメを作成し模擬授業形式で発表を行い、他の学生が質問者として参加する形態をとる。授業の目的は、1.明治期の文学状況が正確に理解できる。2.学部専門教育での知見を踏まえ、小説作品の高度な読み方ができる。3.レジュメによって自己の知見を論文化することができる。4.他者の発表を聴き、それに対して適切な質問・批評を行うことができる。以上4点である。成績は1回の発表と、毎回の意見シートの提出で評価する。
日本語学特殊講義ⅠA 日本語学の基礎的な研究論文の精読を通して、修士論文執筆のための研究技術を修得するとともに、専門的な知識を身につける。指定した論文について、多角的な視点から論文を批判的に検討し、資料選択やデータ収集、分析、考察の妥当性について考察する。論文の概要及び問題点について講義を行い、受講者も含めて内容を検討する。なお論文の選定にあたっては、受講者の専門や関心を考慮する。
日本語学特殊講義ⅠB 日本語学の基礎的な研究論文の精読を通して、修士論文執筆のための研究技術を修得するとともに、専門的な知識を身につける。指定した論文について、多角的な視点から論文を批判的に検討し、資料選択やデータ収集、分析、考察の妥当性について考察する。論文の概要及び問題点について講義を行い、受講者も含めて内容を検討する。後期は受講者の関心に応じて、受講者自身が論文を選定する。
日本語学特殊講義ⅡA 言語類型論の観点から見た日本語の文法的な特徴について講義する。日本語を言語類型論の観点から記述した参考文献を読みながら、語順・格・他動性といったトピックについて議論する。
日本語学特殊講義ⅡB 言語類型論の専門書を読みながら、そこで扱われるトピックについて講義する。Aと同じく日本語が主な対象だが、日本語を対象とした内容ではない。形態論やテンス・アスペクトといった幅広いトピックを扱う。
日本語学特別演習ⅠA 日本語学のうち、通時的研究において取られる方法論を理解するため、異なる時代の言語を比較し、言語事象の歴史的変化を分析する演習を行う。資料の解読、用例の収集・整理、分析方法、論文執筆の注意点などについて理解を深め、修士論文作成のために必要な基礎的な力を身につける。天草版平家物語とその原拠本との対応部分を比較することを通して、古代語から近代語への過渡期における言語事象の変遷を観察、分析し、発表を行う。前期に設定された本授業では、資料の解読と用例の収集を重点に置いた発表を行った上で、受講者全員で議論する。
日本語学特別演習ⅠB 日本語学のうち、通時的研究において取られる方法論を理解するため、異なる時代の言語を比較し、言語事象の歴史的変化を分析する演習を行う。資料の解読、用例の収集・整理、分析方法、論文執筆の注意点などについて理解を深め、修士論文作成のために必要な基礎的な力を身につける。天草版平家物語とその原拠本との対応部分を比較することを通して、古代語から近代語への過渡期における言語事象の変遷を観察、分析し、発表を行う。後期に設定された本授業では、自ら問題を設定したうえで、用例の分析に重点を置いた発表を行い、受講者全員で議論する。
日本語学特別演習ⅡA 方言を含む現代日本語に関する研究論文を講読し、当該分野の研究トピックに関する知識を深めつつ、その問題点をめぐって議論を行う。講読する論文は受講者の関心に従って各自で決める。
日本語学特別演習ⅡB 受講者の母方言や関心のある言語・方言を対象として、文法記述を行う。記述に際しては、対象となる言語・方言と文法項目を決めたうえで、先行研究の調査項目を参考にする。受講者は各自の記述の進捗状況を報告し、それをもとに全員で議論する。
中国文学特殊講義ⅠA 漢文・漢詩に代表される古典的中国文化と、現代中国文化とは、あまりに異質な印象を与えるが、その変化を理解するために、近世(元、明、清)の文学の有り様を考察する。中国近世の文化自体を把握することはもちろん、視野を更に古代から現代に到る三千年の歴史にまで拡げ、日本文化の特質についても考える糸口が得られるようにする。

漢文・漢詩に代表される古典的中国文化と、現代中国文化とは、あまりに異質な印象を与えるが、その変化を理解するために、近世(元、明、清)の文学の有り様を考察する。中国近世の文化自体を把握することはもちろん、視野を更に古代から現代に到る三千年の歴史にまで拡げ、日本文化の特質についても考える糸口が得られるようにする。
中国文学特殊講義ⅠB 漢文・漢詩に代表される古典的中国文化と、現代中国文化とは、あまりに異質な印象を与えるが、その変化を理解するために、近世(元、明、清)の文学の有り様を考察する。中国近世の文化自体を把握することはもちろん、視野を更に古代から現代に到る三千年の歴史にまで拡げ、日本文化の特質についても考える糸口が得られるようにする。 IAとは、ちがう文学者・作品を扱う。
中国文学特殊講義ⅡA 「100年の中国文学」と題して、二〇世紀中国文学の歩みを概観し、中国近代,現代文学に対する理解を深めます。中国近代,現代文学への知見を高めるため、背景となる20世紀中国への理解を深めることも目指します。同時に難易度の高い中国語テキストを読みこなせるような指導を心がけます。 本講義では主として20世紀前半の文学に重点を置いてお話しする予定です。
中国文学特殊講義ⅡB 「100年の中国文学」と題して、二〇世紀中国文学の歩みを概観し、中国近代,現代文学に対する理解を深めます。中国近代,現代文学への知見を高めるため、背景となる20世紀中国への理解を深めることも目指します。同時に難易度の高い中国語テキストを読みこなせるような指導を心がけます。 本講義では主として20世紀後半の文学に重点を置いてお話しする予定です。
中国文学特別演習A 張愛玲の作品を読んでいきます、20世紀中国文学を代表する女性作家の筆になるオールド上海の雰囲気を楽しみましょう。
 演習の進め方は、前半は精読を通じて精確な読解力の養成を目指し、後半は発表を通じて作品の分析,先行研究の利用法,レジュメ作成の方法などに習熟していただきます。
中国文学特別演習B 80年代から90年代の中国を代表する作家莫言の作品を読んでいきます。現実・非現実の境界を突き破るパワーに酔いしれてください。演習の進め方は、前半は精読を通じて精確な読解力の養成を目指し、後半は発表を通じて作品の分析,先行研究の利用法,レジュメ作成の方法などに習熟していただきます。
中国語学特別演習A 『説文解字注』講読。『説文解字』は後漢の許慎が編纂した、史上初めての本格的な字書である。この書に清の段玉裁が加えた注釈を精読することによって、漢字学はもとより、漢語音韻学、経学、考証学など、広く奥深い中国の学問の世界にふれる。漢字の形・音・義の成り立ち、音韻学初歩を把握し、古代漢語をある程度のスピードで読めるようになるように、訓練する。
中国語学特別演習B 『説文解字注』講読。『説文解字』は後漢の許慎が編纂した、史上初めての本格的な字書である。この書に清の段玉裁が加えた注釈を精読することによって、漢字学はもとより、漢語音韻学、経学、考証学など、広く奥深い中国の学問の世界にふれる。特別演習Aの目標に加えて、考証学の論理を把握し、自らも運用できること、経学の歴史を知ること等を目標とする。
イギリス文学特殊講義A イギリス・ロマン派の詩人(コウルリッジ、ワーズワース、キーツ)を取り上げ、それぞれの詩人についての特徴を学ぶとともに、彼らの作品を原文で精読することを通して用いられている表現や技巧、扱われているテーマやイメージなどについて理解し、説明できるようになることを目的とします。授業の進め方としては、毎回いくつかの作品を精読し、学生のコメントを基に解説を加えながら、作品のテーマや特徴などについて理解を深めます。
参考文献:『イギリス文学辞典』/『文学要語辞典』研究社
イギリス文学特殊講義B イギリス・ロマン派の詩人(ブレイク、ワーズワース、シェリー)を取り上げ、それぞれの詩人についての特徴を学ぶとともに、彼らの作品を原文で精読することを通して用いられている表現や技巧、扱われているテーマやイメージなどについて理解し、説明できるようになることを目的とします。授業の進め方としては、毎回いくつかの作品を精読し、学生のコメントを基に解説を加えながら、作品のテーマや特徴などについて理解を深めます。
参考文献:『イギリス文学辞典』/『文学要語辞典』研究社
アメリカ文学特殊講義A Lafcadio HearnのKwaidan を毎回1作品ずつ取り上げ、原文で読み進めながら、作品に対する受講生の関心を糸口に、Hearnの文学について討議していく。Kwaidan は日本滞在時に執筆されているが、Hearnはすべて英語で書いてきたこと、そして来日以前はアメリカに20年間滞在し様々な文筆活動をしていたことを考慮するなら、Hearn(の文学)はアメリカ(文学)と接続可能であると同時にアメリカ(文学)を相対化していくものでもある。こうしたことを念頭に置きながら、英語作家としてのHearnの可能性についても検討していく。
アメリカ文学特殊講義B コロンブスによるアメリカ大陸発見400年を記念して1893年に開催されたシカゴ万国博覧会がアメリカ作家に与えた文学的影響について、文学作品や自伝の考察を通して検討していく。アメリカに限らず、従来の万博研究や文学研究において、万博と文学の影響関係はほとんど見過ごされてきた。本講義では、主にシカゴ万博とアメリカ文学の関係を中心に扱っていくが、現代文学から見るシカゴ万博、あるいは日本文学に描かれた万博といったように、より広い視野から万博と文学の関係を捉えることも予定している。
アメリカ文化特殊講義A Eric AvilaのAmerican Cultural History(2018)を受講生による報告という形式で読み進める。アメリカ文化と一口に言っても、その実態は多様かつ流動的である。そのため、この授業ではテキストにならって、人種・大衆性・都市・郊外化・WWWの5つの観点からアメリカ文化の実相を捉えていく。授業では常に自由な活発な意見交換が求められるだけでなく、参加する際はテーマに関連した情報を収集し、自身の関心を広げつつ、話題提供を心がけてもらう。
アメリカ文化特殊講義B この授業は、アメリカという国に対して映画が果たしてきた役割を批判的に検討していく。アメリカは実験国家であるがゆえに、絶え間ない変容を余儀なくされ、分裂と統合の問題に何度も直面してきた。こうした危機的状況を乗り越えられた要因のひとつに映画がある。アメリカにおいて映画が国民的娯楽として愛されている理由を上記の観点から検討していくのが本授業の目的である。受講生にはこちらが指定する映画作品を事前に観てもらい、担当者の報告を糸口に討議していく形で授業は進行する。テーマは毎回変わるため、受講生からリクエストがあれば、柔軟に変えていくことも可能であり、積極的な参加が求められる。
英語学特殊講義ⅠA 英語で書かれた理論言語学の入門書をテキストに使い、理論言語学の主要な理論分野を概観します。受講者の発表は求めませんが、授業までにテキストの当該範囲の練習問題を解いておくことを宿題とします。授業ではテキストに書かれてある内容と練習問題の確認を主に行います。テキストを読んでいて抱いた疑問があればそれについてディスカッションを行います。また、学んだ理論は日本語にも正しく適用できるかなど、理論の適用や限界についても考えていきます。
英語学特殊講義ⅠB 英語で書かれた生成文法理論の入門書をテキストに使い、生成文法が何を目指しているのか、何を前提に理論を構築しているのか、具体的にどんな理論があるのかを概観します。受講者の発表は求めませんが、授業までにテキストの当該範囲の練習問題を解いておくことを宿題とします。授業ではテキストに書かれてある内容と練習問題の確認を主に行います。テキストを読んでいて抱いた疑問があればそれについてディスカッションを行います。また、学んだ理論は日本語にも正しく適用できるかなど、理論の適用や限界についても考えていきます。
英語学特殊講義ⅡA 英語の使用実態を調査するための手段の一つとして、急速に整備が進んでいるものにコーパスがあります。コーパスは、実際に使用された英語のデータを言語分析のために収集したものですが、この授業では、研究を進める際に英語コーパスが使えるようになることを目的とします。授業の進め方としては、まず英語コーパスの基本的事項を参考文献を中心に学んだ上で、テキストを用い、コーパスを活用した英文法研究(複合語分析、語彙意味論研究など)について輪読形式で読み進めます。担当者は簡単な要約を作成した上で内容を発表します。適宜課題に取り組み、理解を深めます。
英語学特殊講義ⅡB 言葉を使用する際には、外界の世界を客観的に写しとっているのではなく、人間がどのように出来事を捉えたかということに基づいて表現が選ばれています。たとえば、「車窓を街の景色が流れていった」という表現では、客観的に動いているのは乗り物に乗っている話者ですが、「街の景色」が動くものとして表現されています。この授業では、上記のような人間の認知と言葉との関わりを扱う認知言語学の基本的事項を理解することを目的とします。また、英語のテキストを読むことで、英語で専門的な文献を読み、内容を自分の言葉で説明することができるようになることを目指します。授業の進め方としては、教科書の内容を輪読形式で読み進めます。担当者は簡単な要約を作成した上で内容を発表します。適宜課題に取り組み、理解を深めます。
イギリス文学特別演習A イギリス文学の中で重要なジャンルの一つである演劇から、シェイクスピアの有名な悲劇『リア王』を取り上げ、原書でじっくり鑑賞するとともに、読解力および分析力を養成します。この授業を通して、シェイクスピアとその時代の社会事情や特徴(特に演劇)について、基本的な事項を理解した上で、辞書や注を利用して原文を読むこと、また作品のテーマ、イメージや表現、文体的特徴や技巧等について説明できるようになることを目的とします。授業の進め方としては、テキストの指定した箇所を学生が音読し、重要な表現やイメージなどについてコメントした後に、補足的な説明や解説を加える形で進めます。
イギリス文学特別演習B イギリス文学の中で重要なジャンルの一つである演劇から、シェイクスピアの有名な悲劇『リア王』を取り上げ、原書でじっくり鑑賞するとともに、読解力および分析力を養成します。この授業を通して、シェイクスピアとその時代の社会事情や特徴(特に演劇)について、基本的な事項を理解した上で、辞書や注を利用して原文を読むこと、また作品のテーマ、イメージや表現、文体的特徴や技巧等について説明できるようになることを目的とします。授業の進め方としては、テキストの指定した箇所を学生が音読し、重要な表現やイメージなどについてコメントした後に、補足的な説明や解説を加える形で進めます。
アメリカ文学特別演習A 新批評、精神分析批評、マルクス主義批評、フェミニズム批評、ポストコロニアル批評などの文学理論について学ぶ。ただ理論についての知識を身につけるだけでなく、応用を通じて小説の読解方法を磨いていく。具体的には、最初に分析対象となる文学テクスト(主に短篇小説)を原文で読み、次に理論について学び、そして作品読解に応用していくというサイクルで授業は進行する。
アメリカ文学特別演習B アメリカ文学分野で修士論文を作成する学生を対象に、論文執筆に必要な専門分野の知識と論文作成の技能の習得を目的とする。具体的には、研究課題に基づいた研究計画を立て、関連文献の調査と読解の作業を進め、2回の進捗状況報告を行う。特に読解パートの文献については、受講者の研究対象に関連するものを扱うため、受講者はどのような研究をしていくかをある程度具体化しておく必要がある。
アメリカ文化特別演習A これまで多くの作家が幽霊を描いてきたことに注目し、代表的な幽霊譚の読解を通じて、文学と幽霊の関係性を考察する。授業では、アメリカ小説だけでなく、日本小説を一部扱うことになるが、これはアメリカ小説における幽霊の機能を考察するうえでの補助線と捉えてもらいたい。また、映画作品についても受講生からリクエストがあれば、そちらを優先して取り上げていくことも可能である。
アメリカ文化特別演習B アメリカ文化分野で修士論文を作成する学生を対象に、論文執筆に必要な専門分野の知識と論文作成の技能の習得を目的とする。具体的には、研究課題に基づいた研究計画を立て、関連文献の調査と読解の作業を進め、2回の進捗状況報告を行う。特に読解パートの文献については、受講者の研究対象に関連するものを扱うため、受講者はどのような研究をしていくかをある程度具体化しておく必要がある。
英語学特別演習A 日本語で書かれた英文法の概説書をまず読み、その記述の根拠となるデータや学説を英語学の文献で探し、読み込んでいきます。発表担当者はつぎのことをまとめて授業で発表します。①概説書の記述を支えるデータの提示、②概説書では扱っていない事例や問題点、③より新しい研究の動向、④概説書の記述に変更が必要かどうか。この発表をふまえて授業参加者の間でディスカッションを行いながら、よりよい英文法記述や文法規則の背後にある要因を探ります。
英語学特別演習B 日本語で書かれた英文法の概説書をまず読み、その記述の根拠となるデータや学説を英語学の文献で探し、読み込んでいきます。発表担当者はつぎのことをまとめて授業で発表します。①概説書の記述を支えるデータの提示、②概説書では扱っていない事例や問題点、③より新しい研究の動向、④概説書の記述に変更が必要かどうか。この発表をふまえて授業参加者の間でディスカッションを行いながら、よりよい英文法記述や文法規則の背後にある要因を探ります。
フランス文化特殊講義A フランス語学の研究分野と基礎的な言語理論について知識を深め、人文科学の一分野としての「言語学」とはどのような学問か認識する。また、具体的な事例について先行研究の考察を行い、言語分析の概念と専門的な方法を習得する。さらに、フランス語以外の言語(英語・日本語など)との対照から各言語が示す特徴を導き出し、対照言語研究において様々な視点で分析・考察を行う意義について理解を深める。それにより、言語および言語活動の本質にせまる。
フランス文化特殊講義B フランス19世紀の作家フロベールが同時代を舞台として描いた小説『ボヴァリー夫人』『感情教育』『純な心』『ブヴァールとペキュシェ』について講述する。各作品の分析はもとより、それぞれがフロベールの文学世界においてどのような位置にあるのか、また作家固有の文学言語について考察していく。さらに、文学的流派として≪レアリスム≫の首領格ともされるフロベールが、いかなる点で現代文学の先駆者と称されるのかについても考えていく。
フランス文化特別演習A 豊穣なフランス文学の世界の中から抽出した、もっともフランス的かつ革新的な13の作品(詩、随筆、小説)について、毎回1作品ずつ(フランス語原文抜粋)を読解することによって、個々の作品の世界を探るとともに、文学思潮を把握する。様々な形態の作品に触れることを通して、読解力の醸成はもとより、各作家の文体や固有のテーマ、また文学と社会あるいは歴史について考察する力を養い、さらに個々の作家が創造した文学世界の発見から、言語表現そのものについて新しいヴィジョンを得る。
フランス文化特別演習B フランス語圏を中心に、個別の言語文化圏の社会において言語がどのように使用されているのか、音声、表記、表現など具体的な事例を各自収集・分析・考察し、発表する。発表と議論を通して、言語と社会の関係について考え、さらに言語研究のアプローチをを自らが専門とする人文科学の研究テーマ(言語学、文学、文化比較、社会学、歴史学など)にどのように応用できるか考える。それにより、自らの研究を多様性および独創性のある内容に発展させる。
ドイツ文化特殊講義A さまざまな作家の作品を分析し、関連する先行文献を読解することで、専門研究を行うために必要な技能の習得や知識の深化をめざす。1)文学作品を精読する能力を身につける。2)先行研究を読み、正しく把握することができる。3)先行研究と比較しながら、みずからの論を展開することができる。以上の3点をこの授業の目標とする。また授業中には作品を解読するための鍵となるような課題を出し、学生が能動的に参加し議論することを求める。
ドイツ文化特殊講義B さまざまな作家の作品を分析し、関連する先行文献を読解することで、専門研究を行うために必要な技能の習得や知識の深化をめざす。1)文学作品を精読する能力を身につける。2)先行研究を読み、正しく把握することができる。3)先行研究と比較しながら、みずからの論を展開することができる。以上の3点をこの授業の目標とする。また授業中には作品を解読するための鍵となるような課題を出し、学生が能動的に参加し議論することを求める。
ドイツ文化特別演習A これまでに習得したドイツ語、ドイツ文化に関する知識をさらに深め、専門研究に必要な読解力、思考力の向上をめざす。1)ドイツ語で書かれた作品を原文で読むことができる。2)専門的で高度な内容を理解し、説明することができる。3)テキストの内容を吟味し、批判的な考察を行うことができる。以上の3点が目標となる。授業では毎回、指定のテキストを、ドイツ語の文法的な説明を加えつつ、内容についても議論をしながら読み進めていく。
ドイツ文化特別演習B これまでに習得したドイツ語、ドイツ文化に関する知識をさらに深め、専門研究に必要な読解力、思考力の向上をめざす。1)ドイツ語で書かれた作品を原文で読むことができる。2)専門的で高度な内容を理解し、説明することができる。3)テキストの内容を吟味し、批判的な考察を行うことができる。以上の3点が目標となる。授業では毎回、指定のテキストを、ドイツ語の文法的な説明を加えつつ、内容についても議論をしながら読み進めていく。
哲学特殊講義ⅠA 形而上学の諸問題に関する講義をおこなう。
取り上げるトピックについての理解を深め、自己と世界の基本的なあり方をめぐって哲学的な議論の蓄積があることを知るとともに、哲学に特有の論理的思考力を事柄に即して展開できるようになることを目標とする。
その詳細としては、まず形而上学の主題と方法について基本的な点を確認した上で、○個別者と普遍者、○全体と部分、○時間と変化、○同一性と本質、○原因と結果、○可能性と必然性、○存在と無、のそれぞれに関する代表的なトピックについて、先行研究に即して問題の所在やそれにまつわる重要な議論の関連を紹介し、説明する。
哲学特殊講義ⅠB 価値論の諸問題、とりわけ生と死の価値に関する講義をおこなう。
取り上げるトピックについての理解を深め、生と死の価値をめぐって哲学的な議論の蓄積があることを知るとともに、哲学に特有の論理的思考力を事柄に即して展開できるようになることを目標とする。
その詳細としては、まず価値論の主題と問いの特徴を確認した上で、○幸福の本性、○不死の望ましさ、○死の害悪、○誕生の価値、○人生の意味、のそれぞれに関する代表的なトピックについて、先行研究に即して問題の所在やそれにまつわる重要な議論の関連を紹介し、説明する。
哲学特殊講義ⅡA 主に規範倫理学の諸問題に関する講義をおこなう。
取り上げるトピックについての理解を深め、実生活において倫理学の知見が力を発揮する場があることを知るとともに、哲学に特有の論理的思考力を事柄に即して展開できるようになることを目標とする。
その詳細としては、まず規範倫理学の基本的枠組み(帰結主義と非帰結主義、功利主義・義務論・徳倫理学)を確認した上で、○功利主義における幸福観の諸相、○義務論における義務の衝突への対処の仕方、○徳倫理学における徳の教授可能性、のそれぞれについて、先行研究に即して問題の所在やそれにまつわる重要な議論の関連を紹介し、説明する。また、現代の正義論(リベラリズム・リバタリアニズム・コミュニタリアニズム)についても、その理論的な中軸となる哲学者の議論を詳述する。
哲学特殊講義ⅡB 主にメタ倫理学の諸問題、とりわけ道徳的相対主義に関する講義をおこなう。
取り上げるトピックについての理解を深め、実生活において倫理学の知見が力を発揮する場があることを知るとともに、哲学に特有の論理的思考力を事柄に即して展開できるようになることを目標とする。
その詳細としては、まず道徳的な正しさが有する形式的特徴および従来の倫理学理論(特に功利主義とカント倫理学)が主張する正しさの基本原理について説明する。その上で、○道徳的相対主義の区分(記述的相対主義・メタ倫理的相対主義・規範的相対主義)、○相対主義と類似する別の立場(特に主観主義)との相違と関連、○相対主義に対する懸念とその当否、○相対主義の妥当性、のそれぞれについて、先行研究に即して問題の所在やそれにまつわる重要な議論の関連を紹介し、説明する。
哲学特別演習ⅠA 形而上学の諸問題を論じた先行研究を取り上げ、その内容に関する演習をおこなう。
形而上学の主要研究領域、とりわけ存在論、時間論、因果論、自由意志論、様相論における基本的な論争状況を把握し、またそれらが含む問題点を理解することにより、哲学を専攻する院生の修論作成(テーマ選択)へとつなげるとともに、哲学における多様な議論を実地に体験してもらうことで、修士に求められる論理的思考力を養成することを目標とする。
その詳細としては、上記の各研究領域の代表的論者たち(クワイン、アームストロング、マクタガート、プライア、ルイス、オルソン、ツィマーマン、ヒューム、アンスコム、ファン・インワーゲン、フランクファート、クリプキ)の研究を一回の授業につき一つ取り上げ、あらかじめそれらを読み内容をまとめてきた受講者とともに、議論を展開する。
哲学特別演習ⅠB 価値論の諸問題を論じた先行研究を取り上げ、その内容に関する演習をおこなう。
価値論の主要研究領域、とりわけ生と死の価値(幸福の本性、不死の望ましさ、死の害悪、誕生の価値、人生の意味)についての探究における基本的な論争状況を把握し、またそれらが含む問題点を理解することにより、哲学を専攻する院生の修論作成(テーマ選択)へとつなげるとともに、哲学における多様な議論を実地に体験してもらうことで、修士に求められる論理的思考力を養成することを目標とする。
その詳細としては、上記の各研究領域の代表的論者たち(ムーア、クリスプ、ヒースウッド、ライス、ウィリアムズ、フィッシャー、ローゼンバウム、フェルドマン、カウフマン、パーフィット、べネター、テイラー、ヘア、ノージック)の研究を一回の授業につき一つ取り上げ、あらかじめそれらを読み内容をまとめてきた受講者とともに、議論を展開する。
哲学特別演習ⅡA 主に規範倫理学の諸問題を論じた先行研究を取り上げ、その内容に関する演習をおこなう。
規範倫理学の諸理論(功利主義・義務論・徳倫理学)および現代の正義論(リベラリズム・リバタリアニズム・コミュニタリアニズム)の基本的な議論構造を把握し、またそれらが含む問題点を理解することにより、倫理学を専攻する院生の修論作成(テーマ選択)へとつなげるとともに、哲学・倫理学における多様な議論を実地に体験してもらうことで、修士に求められる論理的思考力を養成することを目標とする。
その詳細としては、規範倫理学を代表する論者(ミル、ロス、アリストテレス)やその擁護者や批判者(スマート、ウィリアムズ、ブラント、フィニス、スロート、ハーストハウス)、あるいは正義論の論者(ロールズ、ノージック、マッキンタイアー)の研究を一回の授業につき一つ取り上げ、あらかじめそれらを読み内容をまとめてきた受講者とともに、議論を展開する。
哲学特別演習ⅡB 主にメタ倫理学の諸問題を論じた先行研究を取り上げ、その内容に関する演習をおこなう。
メタ倫理学の諸理論(とりわけ道徳的相対主義、主観主義、および行為の理由に関する理論)の基本的な議論構造を把握し、またそれらが含む問題点を理解することにより、倫理学を専攻する院生の修論作成(テーマ選択)へとつなげるとともに、哲学・倫理学における多様な議論を実地に体験してもらうことで、修士に求められる論理的思考力を養成することを目標とする。
その詳細としては、道徳的相対主義・主観主義や関連する立場の論者(ベネディクト、ハーマン、ウィリアムズ、ヒューム)やその批判者(ゲンスラー、ネーゲル)、また行為の理由についての議論を展開する論者(ウィリアムズ、スミス、コースガード、マクダウェル)の研究を一回の授業につき一つ取り上げ、あらかじめそれらを読み内容をまとめてきた受講者とともに、議論を展開する。
芸術学特殊講義ⅠA 芸術作品の研究には解釈が不可欠であることは言うまでもないが、解釈を述べる際、われわれは必ず言葉によってそれを表明するだろう。しかし色と形という言葉以外の表現方法を用いて作られた絵画や音楽作品を言葉に置き換えようとすると、言葉を言葉で置き換える文学作品の解釈などとは違って、そこにはさまざまな問題が潜んでいることに気づくはずだ。そこでこの講義では、そういったイメージと言葉の問題点について、これまでイメージを言葉に置き換える際に用いられてきた代表的な作品記述の方法を歴史的に振り返りながら、批判的に考察してくことを目指したい。
芸術学特殊講義ⅠB 芸術作品には、それがどのような時代のどのような作品であれ、必ず形式と意味という二つの側面があり、一般的に言って、古典絵画は後者、近限代絵画は前者に重きを置くものが多い。そこでこの講義では、古典絵画を研究する際に必要となる、意味・内容・主題の分析方法であるイコノグラフィーとイコノロジーという二つの研究方法を紹介し、それによってどういう結果が得られるのか、そしてその際どのような問題があるのかということについて実際の作品を用いた具体例とともに検証する。
芸術学特殊講義ⅡA この授業では、ヴァルター・ベンヤミン『写真小史』(1931)と『複製技術の時代における芸実作品』、ロラン・バルト『明るい部屋』(1980)、ミシェル・テヴォー『不実なる鏡』といった重要な論文を読みこむことで、写真についての理解を深めます。写真は絵画とどうちがうのか、写真と映画はどう違うのか、時代ごとに変わっていくその理解をいくつかの論文を手掛かりにして把握することを試みます。
芸術学特殊講義ⅡB この授業では精神分析的な視点から、映画作品の分析と映画を見るという行為の双方について考察します。そしてそうすることで、作品を分析する力を養うとともに、鑑賞することそれ自体を反省することを目指します。また、この授業ではこれらの作品を題材にして、フロイトやラカンの精神分析理論それ自体の説明と、これまでなされたその映画解釈への応用の様々な試みをの紹介を行います。
芸術学特別演習ⅠA 西洋美術作品を研究する際、外国語の文献に接することは何よりも重要であるが、だからといって、ただ単にやみくもに読むだけでは、望ましい結果は得られない。そこでこの演習では、外国語の文献を読む際に必要な知識や技術を身につけるために、まず受講者全員が日本語訳を作り、それらの訳文を互いに検討したのち、内容を理解するうえでポイントとなる個々の細かい点について解説する。外国語の文献を要む際に必要となる知識といえば、ふつうは語学的なものが思い浮かぶだろうが、この演習では、それに加えて、読み取った内容を論文作成に生かすための方法を紹介する。
芸術学特別演習ⅠB どんな学問分野であれ、そこで用いられる方法論に関しては、つねに批判的な検討が加えられ、次々と従来の欠点を克服した新しいアプローチが生み出されている。美術史学の分野でも、1960年代後半あたりから、従来の美術史学とは方法論的に大きく異なった新しい美術史学が提唱されてきた。そこでこの演習では、新しい美術史学が用いる代表的な方法論を、それが実際に使われている論文を読みながら理解し、自分でも使いこなせるようになることを目指す。授業で取り上げる論文は、すべて一枚の同じ有名な作品、ベラスケスの「女官たち」を扱ったものなので、個々の論法の違いがよりいっそう明確になるはずだ。
芸術学特別演習ⅡA 現代美術とデザイン、メディアについて考察するために重要な芸術動向と作品について学びます。また、芸術と呼ばれるものがどう変化してきたかを捉えることで、芸術というジャンルそれ自体を問うことも試みます。そしてこれらのことを通し、今日のメディア社会とどう向き合うかについて考える糸口を探り、今日のテクノロジー環境の可能性について考察します。
芸術学特別演習ⅡB 美術はその時代の視覚メディアに大きな影響を受けます。そのため、様々なメディアの原理を知ることは、作品をより深く理解することに役立ちます。そこでこの授業では遠近法から現在のデジタルメディアまでの代表的なメディアの原理を実習を通して理解することを目指します。具体的には遠近法の装置を再現し、実際に使ってみたり、動く映像を生み出す装置を自作したり、写真の現像や映画の編集といった演習を行います。
文化交流論特殊講義ⅠA 講義と演習。 文学ないし文化に関する高度な専門内容を理解し、それらを援用した作品分析の方法を習得する。またプレゼン、ディスカッション、レポート作成通じて、討論やアカデミック・ライティングの作法を習得する。前半で、学術論文・著書を購読し、専門知識、理論、アプローチを学ぶ。特定の話題について、異なる立場から論じた複数のテキストを購読する。後半では、これらの理論を援用して作品(映画・小説など)の分析及び考察を行うことで、論理的思考や批判的思考を実践的に身につける。それぞれの考えを口頭発表し、全体で討論を行い、これを反映して、最終成果として学術的な形式を備えたレポートとしてまとめ、学期末に提出する。
文化交流論特殊講義ⅠB 講義と演習。文学ないし文化に関する高度な専門内容を理解し、それらを援用した作品分析の方法を習得する。分析作品、購読テキストの選定、分析アプローチを考えることによって、修士論文に取り組み、考察する能力を養う。またプレゼン、ディスカッション、レポート作成通じて、討論やアカデミック・ライティングの作法を習得する。序盤で作品を鑑賞し、物語構造を抽出する。受講者間で分析のポイントとアプローチを話し合い、教員の助言を受けながら、適切なテキスト選定する。要約やポイント、批判すべき点、疑問点を口頭で発表する。終盤では、学んだ理論を援用したり、批判しながら、作品分析及び考察を行うことで、論理的思考や批判的思考を実践的に身につける。それぞれの考えを口頭発表し、全体で討論を行い、これを反映して、最終成果として学術的な形式を備えたレポートとしてまとめ、学期末に提出する。
文化交流論特殊講義ⅡA アクティブラーニングを取り入れた講義形式の授業。文化交流論の主要理論と方法について理解し、特に文化のグローバリゼーションに関する諸問題について具体的事例をあげながら説明できるようになることを目指す。前半(2-7回)はグローバリゼーション、後半(8-13回)は「他者」の表象のあり方に関して取り上げる。前半・後半とも、各テーマに関してこれまでどのような議論が展開してきたかを、複数の文献を取り上げながら把握する。そのうえで、受講生各自が、興味を抱いたテーマに関して教員の助言を受けながらさらに探求し、その成果を発表する。
文化交流論特殊講義ⅡB アクティブラーニングを取り入れた講義形式の授業。文化交流論の主要理論と方法について理解し、特にナショナリズムに関する諸問題について、具体的事例をあげながら説明できるようになることを目指す。前半(2-7回)はナショナリズムに関する理論、後半(8-13回)は特定の切り口からのナショナリズムを取り上げる。前半・後半とも、各テーマに関してこれまでどのような議論が展開してきたかを、複数の文献を取り上げながら把握する。そのうえで、受講生各自が、興味を抱いたテーマに関して教員の助言を受けながらさらに探求し、その成果を発表する。
文化交流論特別演習ⅠA 演習。修士論文の課題に取り組むことを目的とし、授業内容は三段階に分ける。第一に、専門知識・アプローチの習得を目的として高度な学術書・論文(欧文の場合は1本、和文の場合は2-3本を目安とする)を購読し、要約の報告を行う。第二に、研究の立案・構想や研究過程の口頭報告を行うことで、自分の研究内容を他者に説明する能力を培う。第三に、先行研究の検討と討論を行いながら、修士論文に関するテーマについての考察を深める。これも人前で発表したり、討議することで、思考と議論の力を身につける。これらの学習内容を反映したレポートをまとめ、学期末に提出する。
文化交流論特別演習ⅠB 演習。修士論文の課題に取り組むことを目的とし、授業内容は三段階に分ける。第一に、専門知識・アプローチの習得を目的として高度な学術書・論文(欧文の場合は1本、和文の場合は2-3本を目安とする)を購読し、要約の報告を行う。第二に、研究の立案・構想や研究過程の口頭報告を行うことで、自分の研究内容を他者に説明する能力を培う。第三に、先行研究の検討と討論を行いながら、修士論文に関するテーマについての考察を深める。これも人前で発表したり、討議することで、思考と議論の力を身につける。これらの学習内容を反映したレポートをまとめ、学期末に提出する。
文化交流論特別演習ⅡA 演習形式の授業。次年度文化交流論の中でもメディア・コミュニケーション研究、異文化コミュニケーション研究、グローバリゼーション研究、カルチュラル・スタディーズ等の領域で修士論文を作成することを念頭に、(1)先行研究の探し方・批判的な読み方、(2)レジュメ作成やプレゼンテーションの基礎、を身につけ、(3)学術的な文章が書けるようになることを目指す。3つの文献に関して、講読(内容理解)、批判的検討、全体を総括してのプレゼンテーションを丁寧に行っていく。各文献について学期末までにブックレポートを作成し提出、提出されたレポートは教員が添削して返却する。
文化交流論特別演習ⅡB 演習形式の授業。文化交流論特別演習IIAの応用編。次年度修士論文を作成することを念頭に、(1)自ら設定した研究テーマに関係する先行研究の内容を理解し整理すること、(2)修士論文で取り上げる研究テーマ・分析対象や方法を明確にすること、(3)学術的な文章を書けるようになることを目指す。前半は、修士論文で取り組もうと考えている研究テーマに関して、先行研究の収集と内容紹介を行い、分析対象・方法に関する計画も立てる。後半は、研究計画書の練り直しを行い、自らの研究の問題意識や研究史上の位置づけを明確にしていく。
社会学特殊講義A これまで社会学が打ち出してきた理論・命題について再考することにより,それぞれの理論・命題がいかなる今日的意味をもつのか,現代社会のさまざまな現象から問い直す。クラシックな理論・命題が,今なお学問的におもしろく意義深いことを確認しつつ,それらを批判的に捉える視点も重視し,理論的発展に寄与する議論を展開することを目指す。
社会学特殊講義B この講義では、「社会」あるいは「秩序」が成立し得る原理について、社会学が積み上げてきた規範・役割・社会化・準拠集団などなどの諸概念を批判的に整理しなおし、その体系化を試みる。なお、必要に応じて近接領域である社会心理学、文化人類学、経済学からの概念も紹介する。これを通じて参加学生が、自分自身でも社会学の基本的な概念を批判的に再考することができる力を養う。
社会学特別演習ⅠA この授業では,社会調査のうち,インタビュー,フォーカス・グループ,参与観察など,質的なアプローチの実践について修得することをねらいとする。 家族・ジェンダー・子どもについて,質的調査によって実証的に議論を展開した研究論文をいくつか取り上げ,それらを精読することにより,調査方法や分析方法などの理解を深めていく。また,受講生自身が自らの研究テーマを追究する際に,質的調査をどのように用いることができるか,その応用・実践についても議論する。
社会学特別演習ⅠB 近年に発行された国内の学術雑誌(『家族社会学研究』など)や海外の学術雑誌(Journal of marriage and familyなど)から,家族・ジェンダー・子どもに関する論文を集め,それらを解読し,いま家族に何が起こっているのか,それを論ずるためにどのようなアプローチが有効か,ジェンダーや子どもといった視点からはどのような研究課題が存在するのかといった点について,最近の研究動向をおさえる。また,先行研究での知見を整理するだけでなく,それらをもとにして具体的な事例の検討も行なう。このように本授業では,新しい理論構築をめざすうえで必要な最初のステップを実演しながら議論することを目的とする。
社会学特別演習ⅡA 社会運動、ボランティア活動、民間非営利組織(NPO)に関する文献や論文を精読し、研究の背景、問題設定、研究方法、分析のアイディアなどについて解説・議論を行う。現代市民社会の動向を社会学的に研究するための知識やアイディアを身につけることを目的とする。
社会学特別演習ⅡB 社会調査の歴史、調査倫理、種々の調査方法の特徴、調査データの分析方法など、社会調査に関する基礎的な知識や技術を学ぶとともに、受講者自身が関心をもつ問題について実証的な研究を行うため、調査の企画・設計、データの分析方法などに関して発表と議論を行う。
社会学特別演習ⅢA 日常生活・ジェンダー・仕事・地域社会・格差・家族・環境問題など、我々をとりまく様々な社会の側面を、適切な道具(社会学的概念枠組みや統計資料)を使いつつ分析し、その本質を見通す姿勢を養う。そのために、毎回、与えられたテーマについて情報を持ち寄り、どのような視点からみると何が見えるのかを議論していく。この過程を通じて批判的思考力と社会学的感覚を涵養していく。
社会学特別演習ⅢB 社会学というものの見方を方法論的角度から捉え直す。より具体的には、社会的ジレンマ研究・国際比較研究・地域課題研究などの研究の実際を、モデル構築・時系列分析・質的データの数量化・介入実験などさまざまなアプローチ方法という視点から捉え直し、社会学的研究における実証と概念枠組み構築について深く考える。そのために可能な範囲での一次資料に触れながら、共に考えることによって受講者自身の創造性を引き出す。
地理学特殊講義Ⅰ 経済地理学は経済的事象の空間的な分布の特徴やパターンを明らかにするとともに、その特徴やパターンが生じた背景と要因を明らかにしていく学問分野である。本講義では経済地理学における最新の研究動向と調査手法を既存研究から把握し、修士論文の作成に必要な研究手法を身につけることを目的とする。前半の授業では主に農林漁業における生産や流通、工業の立地や産業政策、小売業や観光などのサービス産業の変容などに関する長い研究蓄積がある分野を概観し、その研究手法を概説する。授業の後半では経済のサービス化や金融資本主義の拡大などに関する地理学の近時の研究動向を理解することを目指す。
地理学特殊講義ⅡA 歴史地理学に関する国内外の最新の研究動向を踏まえ,修士論文の作成に必要な研究手法を体系的に理解することを目指す。具体的には。歴史地理学の概念、歴史地理学の方法論について講義を行い、次に、環境と歴史地理、人口の歴史地理、村落・開発の歴史地理、文化・民俗の歴史地理、都市の歴史地理、生産の歴史地理、流通の歴史地理、商業の歴史地理、交通の歴史地理、政治の歴史地理、近代の歴史地理について文献講読を行い、最後に、受講者の研究テーマに関する文献講読を行う。                                          
地理学特殊講義ⅡB 世界の文化圏ごとの都市景観の差異を把握することにより、世界の諸地域における都市形成とその背景を理解することを目的とする。また都市景観と人間活動の関係性から地域の特徴を読み解く力を身につけることを目指す。前半の授業では文化圏によって都市景観に差異が生ずる要因を、自然、社会経済的な背景から概説するとともに、主にヨーロッパの都市を事例に景観の形成過程、歴史的な遺産と都市開発に対する考え方、観光課や移民流入者などの社会的変化が景観に与える影響を検討する。後半の授業ではアジアの都市景観を事例に,景観の歴史的変遷や大規模都市開発による景観変化から景観と人間活動の関係を理解することを目指す。
地理学特別演習A 修士論文の完成を目指し、各自が修士論文で取り組む課題を深めるため、地理学の観点から、地理学の国内の学術論文・専門書及び研究経過に関する相互の報告と議論を通して、地理学の理解を深めるとともに、幅広い素養の滋養を目標とする。具体的には、地理学における国内の各分野の文献(地理学概論、自然と文化、人種、言語、宗教、政治、文化、農業、工業、商業、農村、都市)を輪講し、次に、研究分野に関連する論文を紹介するための原稿及び配付資料(レジュメ)を作成し、最後にプレゼンテーション形式で発表を行う。
地理学特別演習B 修士論文の完成を目指し、各自が修士論文で取り組む課題を深めるため、地理学の観点から、地理学の諸外国の学術論文・専門書及び研究経過に関する相互の報告と議論を通して、地理学の理解を深めるとともに、幅広い素養の滋養を目標とする。具体的には、地理学における諸外国の各分野の文献(地理学概論、自然と文化、人種、言語、宗教、政治、文化、農業、工業、商業、農村、都市)を輪講し、次に、研究分野に関連する論文を紹介するための原稿及び配付資料(レジュメ)を作成し、最後にプレゼンテーション形式で発表を行う。
地理情報システム特別実習 地理情報システムの概念と仕組みを理解するとともに、地理学と関連分野における修士論文の作成に向けた空間データの処理、空間分析、図版作成の方法を習得することを目的とするものである。前半までの授業では様々な空間データの概念や利用方法、空間データを扱う上での注意点、基礎的なデータの編集方法を学ぶ。後半の授業では、研究におけるGIS利用の状況を概観したうえで,実際の空間分析の手法,分析結果の読み取りと図示の仕方などを学ぶ。
文化人類学特殊講義ⅠA イギリスの人文主義的な社会人類学とフランスの構造主義的人類学の思想と理論を中心に文化人類学の学説の流れを再検討し、現代社会に文化人類学がどのような意義を持つかを学ぶ。まずイギリスのエヴァンズ-プリチャードの古典的民族誌『アザンデ人の世界』と『ヌアー族の宗教』の読解を通じて、先住民の社会の思考様式を非論理的とみなしたそれまでの文化人類学の考え方をエヴァンズ-プリチャードがどのように批判しようとしたかを学ぶ。ついでフランスのレヴィ=ストロースの『神話論理』を読解しながら、エヴァンズ-プリチャードとは異なる角度からではあるが、西洋の科学的思考とは異なる論理性が先住民の「野生の思考」にはあるのをレヴィ=ストロースが主張したことを学ぶ。こうした作業を通じて他者理解・異文化理解のための柔軟な姿勢を身につけることができるようにする。
文化人類学特殊講義ⅠB 国際養子縁組や配偶子提供などを通じて生物学的核家族が大きく変容している現状を、特に北欧の事例を出発点として検討して、遺伝的関係に拘泥せず核的でない親戚関係が形成されている家族のあり方について学ぶ。まずアメリカの人類学者マードックの核家族という概念が、いかに現代欧米の家族の実情からかけ離れているかを北欧の養子縁組家族の事例を通じて学ぶ。養子縁組家族では親と子の間に遺伝的繋がりはないが、配偶子(精子・卵子)提供や代理出産を通じて家族が形成された場合にも子どもは両親のどちらかと遺伝的繋がりをもたない。こういう場合にはアイデンティティの問題が生じるが、それに対して北欧社会がどのように対処しているかを学ぶ。また先住民社会で親子家族関係がどのように考えられているか様々な民族誌の読解を通じて学びながら、家族のあり方について柔軟な姿勢でのぞむことができるようにする。
文化人類学特別演習A 文化人類学を基盤としたより高度な演習を行う。具体的には『歴史の島々』(M.サーリンズ)、『野生の思考』(C.レヴィ=ストロース)、『無文字社会の歴史』(川田順造)など歴史人類学の文献を精読し、文化人類学と歴史の関係性について学ぶ。またオセアニア地域を中心とした実証研究にも焦点を当て、西洋近代との接触以降の歴史認識、歴史表出のあり方(伝統の創造、ナショナリズムと伝統文化)について、受講生全員でディスカッションを行う。そして今後の研究の方向性として、「歴史と物語」論を手掛かりに、歴史の通文化比較の可能性を模索する。
文化人類学特別演習B 文化人類学を基盤としたより高度な演習を行う。現代社会の抱える諸問題を取り上げ、文化人類学的に思考することで、その隘路からの脱却を試みる。具体的には「観光」「医療」「ジェンダー/つながり」という場で生起しつつある問題群を「グローバリゼーション/コンタクトゾーン」という視点から捉えなおす。とくにオセアニア・北欧地域の民族誌を手掛かりとして、受講生全員でディスカッションを行い、今後のグローバル社会における人類学的思考の有用性を考えていく。
考古学特殊講義Ⅰ 弥生・古墳時代研究の諸課題を明らかにすることを目的に、教員が現在とりくんでいる研究内容について講義をおこなう。とくに、考古遺物の製作・流通・使用・廃棄といったライフヒストリーに着目した論点をとりあげ、それらが弥生・古墳時代研究においていかなる影響をおよぼすのか研究史上に相対化を図ることをとおして、沈黙資料である考古資料によって過去の社会を復元する方法論を解説する。さらに、弥生・古墳時代を通じて一貫した分析を試みることで、日本列島における古代国家形成に至るまでのプロセスとその歴史的な特質に言及し、歴史学としての考古学の可能性についても議論を紹介する。また、講義を通して、論文執筆において必要となる、課題設定、資料収集・分析、解釈に至る過程を実践的に提示し、論文作成のテクニックを習得することもねらいとする。
考古学特殊講義Ⅱ 古代の窯業生産について、考古学の視点から検討し、その実態を把握する。古代の官衙遺跡や寺院跡から出土する瓦・土器について、先行研究を踏まえて検討し、これまでの研究成果を整理し、今後の研究方向を考える。土器については須恵器、土師器、施釉陶器を扱う。講義の進め方は、まずイントロダクションとして講義の全体概要を説明する。その後、これまでの官衙遺跡および寺院から出土した瓦の研究事例・研究史について講義する。その上で、詳しく軒瓦と平丸瓦の分析を行い、生産と供給関係を把握し、屋根景観の復元、寺院と官衙(国府・郡衙)出土の瓦の比較検討、駅家出土瓦の研究について講義する。次に、官衙遺跡と寺院出土の土器について、これまでの研究事例・研究史と概要を整理し、生産と供給の諸問題について講義する。最後に、古代における窯業生産と流通についてまとめる。なお、講議を基本とするが、適宜受講生に質問し、対話形式も用いる。
考古学特殊講義Ⅲ 韓半島青銅器時代を対象にして、過去の墓制に対する考古学的研究の方法論、資料提示・操作の具体例を把握し、先史時代社会復元の方法を習得します。具体的には①韓半島青銅器時代墓制に関する研究史について講義し、研究動向と課題を把握します。②墓制の多様性を理解するために、支石墓、石棺墓、土壙墓といった墓の類型ごとの特徴とそれを基にした墓地構造の変遷とその意味について講義します。③副葬遺物の種類とその特徴について述べた後、それを基にした葬送儀礼プロセスの復元ならびに葬送儀礼の共有を通した地域間交流網の形成について講義します。最後に①から③までの内容を基に、墓制研究を通した韓半島青銅器時代社会の変遷と特徴について学生が発表します。
考古学特別実習 遺跡の発掘調査を通して、学生が考古学研究に必要な研究資料獲得のための諸技術・知識を習得することを目的とする。山陰地域を中心として、野外で遺跡の発掘調査を行う形式で授業を進める。
2週間ほどのフィールドワークにおいて発掘調査に関わる基本的な技術を駆使し、調査の段取りを適宜設定し、調査計画を遂行する。具体的には、①発掘調査区域の適切な設定と表土剥ぎといった遺構検出前段階の準備作業、②遺構・遺物検出作業、③写真・実測図の作成といった記録作業、④発掘調査区域の埋め戻しといった一連の発掘調査の流れを実践し体得する。
考古学特別演習Ⅰ 受講生が関心をもつテーマについて、受講生自身が先行研究を批判的に検討することからはじめ、明確な目的意識のもと考古学資料に即した検討を実践する。その過程で、受講生自身が今後の研究の方向性を見定め、的確な課題の設定とその解決方法を習得することをめざす。そのため、受講生自身が主体的に関心をもつテーマに取り組み、それを教員がその都度の状況に応じて必要な助言・指導することで授業を進める。具体的には、受講生が関心をもつテーマについて研究史を概観し、論点の整理をおこなう。そして、検討対象資料の選定と論点にみあった分析方法を検討しつつ、検討対象資料と関連文献の集成をおこなう。そのうえで、考古資料のライフヒストリー(製作・(流通)・使用・廃棄)のそれぞれの局面に着目して、受講生自身が口頭発表をおこない、論文作成の基礎的な手続きを身につけるようにする。
考古学特別演習Ⅱ 飛鳥時代(7世紀)から平安時代後半(12世紀)までの歴史考古学に関わる先行研究の論文分析を通して、歴史考古学の研究方法や特質を習得する。まず、歴史考古学に関わる遺構の論文については、受講生が文化庁が作成した発掘調査とその整理作業、報告書作成のマニュアルである、「発掘調査のてびき」の古代の「寺院」と「官衙」部分を精読し、内容の把握に努め、要旨を発表します。遺物についても、「発掘調査のてびき」の遺物の分析部分を扱い、内容の把握に努め、発表します。その次に、受講生各自が歴史考古学に関わる官衙遺跡、寺院跡、集落遺跡、生産遺跡とそれに付随する遺構や遺物(土器、瓦、金属製品など)の研究史の整理、問題点の把握に努め、その上で、資料の収集、検討、分析、考察という流れで、研究発表を行います。その後、全員でその発表内容について検討します。
考古学特別演習Ⅲ 海外の先史時代、特に韓半島青銅器時代文化に関する韓国語論文の精読、論評・討論を通して、当該分野の研究成果・課題について理解を深め、現時点における韓半島先史考古学の方法論の習得とその実践を目標とします。具体的には受講者が主体となって、①考古学研究の基礎となる編年・年代研究の成果を把握するための論文の精読、論評・討論を行います。②遺物研究の動向を把握するため、土器・磨製石器・青銅器研究と関連した論文の精読、論評・討論を行います。③遺構研究の動向を把握するため、集落・農耕・墓制・社会性格と関連した論文の精読、論評・討論を行います。最後にまとめとして韓半島青銅器時代文化研究の課題と方向性について講義します。本科目では韓国語論文の講読を通して韓国語の習得ができるようにします。
日本史学特殊講義Ⅰ-1 日本古代と関連する時代や地域を扱った最近の論文をとりあげながら、日本史上の重要な研究課題について、これまでの研究の流れを把握し、研究の現状について理解を深め、課題を考える力を養う。具体的には(1)日本古代史研究の概要を把握した後、(2)律令国家と王権・天皇をめぐる研究をとりあげ考える。ついで、(3)国郡制などから古代の地域支配と地域支配論をとりあげる。さらに(4)仏教や神祇信仰など、古代国家と宗教の問題を考える。そして、視点を広げて(5)七~八世紀の東アジア世界の中の古代日本の位置を考える。日本の国家形成が東アジア世界のなかでどのようになされたか、日本と唐、新羅、渤海など個別の諸国間関係を取り扱った論文を読み、さらに、東アジア世界論、東部ユーラシア世界論などの大きな理論的枠組みを提示した論文を検討し、東アジア世界、ユーラシア世界のなかの古代日本の位置づけを考えていく。
日本史学特殊講義Ⅰ-2 日本中世を中心に、それに関連する時代や地域を扱った最近の論文をとりあげて、研究の現状と課題について考える。まず日本中世研究の全体を概観した後、大きく次の2点を中心にする。(1)古代から中世への移行期の諸問題をとりあげる。平安期の国家をどのように捉えるか、摂関政治、院政という政治形態と国家組織に関する論点ヘの理解を深めていく。また武士や家の成立、荘園公領制の成立、寺社勢力の特徴など、古代から中世社会への展開に関する研究の状況と論点への理解を深めたうえで、権門体制論など中世国家論の大きな枠組みの捉え方を考える。(2)鎌倉幕府を中心とした問題を考える。鎌倉幕府の成立や特質に関する論、元寇に象徴されるような東アジア世界の中の鎌倉幕府と中世国家についての論、鎌倉幕府の終焉となる後醍醐王権と南北朝期への転換の論をとりあげ、大きな視野から中世の日本の国家と社会、およびその本質を考えていく。
日本史学特殊講義Ⅱ-1 宗教・思想からみた日本近世社会の特質について講義する。地域における寺社と宗教者の役割について押さえたうえで、宗教論争や宗教的異端(キリシタン、日蓮宗不受不施派、浄土真宗の異安心など)の事例を取り上げて分析を示すことを通じて、日本近世における神道と仏教との関係や、仏教諸宗派の共通性と差異などについて論じる。
日本史学特殊講義Ⅱ-2 日本近世史の展開に即して山陰の地域的特徴について講義する。まず、鳥取藩、松江藩、浜田藩、津和野藩といった山陰の諸藩の藩政の基本的事項を押さえたうえで、各領域における政治支配の特質について論ずる。また、たたら製鉄、木綿、和紙などの近世の山陰地域における代表的産物を取り上げ、山陰地域の産業史的観点からみた特徴を明らかにする。さらに神道や仏教などの展開を取り上げて、宗教と文化からみた特徴などについて論ずる。
日本史学特殊講義Ⅲ-1 本授業では、日本近現代の農業史研究を素材として、学術論文の作成手法を講義する。史料収集から内容分析、関連する研究史の検討から論文作成に至るまで、日本近現代史研究に必須な一連の研究能力を修得することを目的としている。具体的には、「歴史資料調査および整理の方法」、「先行研究整理の方法」、「研究課題の設定」、「対象の限定と立論の方法」、「史料批判の方法」、実証の方法」、「歴史叙述の手法」といった研究プロセス順に講義を進めていく。講義全体を通して、歴史研究者とと歴史学の営みを学ぶことを目的としている。最後に、各受講学生は歴史学の営みに関するレポートを課題としてまとめ、講義を通して学んだことの定着を図る。
日本史学特殊講義Ⅲ-2 本授業では、現在進行形で生成および収集されている現代資料について講義する。戦争や戦災、災害、公害などの現代資料に関する考え方および分析手法を学び、現代史研究に必須な一連の研究能力を修得することを目的としている。具体的には、「兵士に関する戦争資料」、「銃後体験に関する戦争資料」、「被災体験に関する災害資料」、「復興過程に関する災害資料」、「訴訟に関する公害資料」を用いて現代資料をめぐる課題を講義する。最後に、各受講学生は現代資料に関するレポートを課題としてまとめ、講義を通して学んだことの定着を図る。
日本史学特別演習ⅠA-1 歴史学の基本である歴史史料を調査、読解し、そこから歴史的事実や歴史像を考えることを受講生が習得する授業である。ここでは主として日本古代の国家によって編纂された正史『続日本紀』を中心に読み進める。あわせて関連する律令格式、正倉院文書や中国古典籍などの史料を受講生が調査、収集しながら読解を進め、歴史史料の読解、分析の方法を習得するとともに、史料からどのような歴史像が構築できるかを考えていく。天平期(729-749ころ)の『続日本紀』の記事のなかから、重要な歴史的事象を記録した部分を取り出して読解し、関連史料とあわせて、派生するさまざまな歴史的問題を見出し、古代の歴史像を描き考えていく。この時期には、とくに光明皇后や阿部内親王(孝謙女帝)、恭仁京遷都、藤原広嗣の乱など古代王権の本質にせまる問題、遣唐使と遣唐留学生をめぐる問題、疫病の大流行などの危機への対応問題、古代史上の重要な問題を見出すことができる。そうした問題を史料の調査と読解を通じて考えていく。
日本史学特別演習ⅠA-2 歴史学の基本である歴史史料を調査、読解し、そこから歴史的事実や歴史像を考えることを受講生が習得する授業である。ここでは平安後期の貴族で、摂政関白を勤めた藤原忠実の日記『殿暦』をテキストとして読む。あわせて、藤原宗忠の日記『中右記』の同じ日の記事も読んで比較したり、儀式書・年中行事書、大日本史料や古記録データベースも使いながら関係する史料の調査、収集も行い、一日の記事を多角的分析して、歴史的事実の全体像を引き出すことを行う。またそのなかで日記のもつ史料的特質も考える。長期間にわたる『殿暦』の記録のなかでも12世紀初頭の時期を中心に読む。それは忠実が父関白師通や大殿師実の死去の後、摂関家を継承していく時期であり、同時に白河上皇による院政が成立していく時期でもある。この講読を通じて、当事者の史料から院政の成立、さらには中世社会と政治体制の成立という歴史上の重要な問題を考えていくことにもなる。史料から政治、社会の転換を読み取ることをめざす授業である。
日本史学特別演習ⅠB‐1 歴史学の基本である歴史史料を調査、読解し、そこから歴史的事実や歴史像を考えることを受講生が習得する授業である。ここでは平安時代の国家と社会を律する儀式の作法を記した儀式書『北山抄』を読解し、古代・中世の政治と社会の特質を考えていく。『北山抄』なかでも特に巻十二「吏途指南」を講読する。「吏途指南」は、平安期の地方支配を担った受領の政務や文書作成、各種儀式のマニュアルともいうべきものである。難解な史料であるが、この「吏途指南」を読むことを通じて、高度な史料読解能力を身につけるとともに、受領の実態や特質、地方行政、租税徴収、各種租税・行政文書、政務とその手続き、儀式などのあり様を理解し、平安期の国家や社会の特質全体への考察につなげていく。読解に際しては、すでに出版されている『北山抄註解』などの研究成果を参考に用いる。またそれらを手かがかりに関連史料を調査し、多角的に問題を見ることができるようにする。
日本史学特別演習ⅠB-2 歴史学の基本である歴史史料を調査、読解し、そこから歴史的事実や歴史像を考えることを受講生が習得する授業である。こごては平安時代の国家と社会を律する儀式の作法を記した儀式書『西宮記』を購読する。平安中期に編さんされた『西宮記』の内容は多岐にわたるが、この授業では最初の宮廷年中行事の部分を読んでいく。国家儀礼としての年中行事には、天皇を中心とした国家や社会の秩序が表現されており、読み進めていくことによって、個々の行事の特徴だけでなく、平安時代の王権や国家のあり様を考えることにつなげていく。また同時期の日記等の史料から年中行事の実例を調査して、具体像をより明らかにしていくとともに、『西宮記』の記述とあわせることによって、理念と実態の関係を考えることにも発展させていく。史料の調査、読解、考察の方法を身につけることになる。
日本史学特別演習ⅡA-1 日本近世史の各分野、すなわち政治史、経済史、民衆運動史、宗教史、思想史などに関わる代表的な研究文献(論文、著書)を、近世史の通史的展開にも配慮しながらテキストとして取り上げ、講読する。受講生は予めテキストを読み、その内容の要約、疑問点などについて報告し、全員で議論して理解を深める。
日本史学特別演習ⅡA-2 日本近世史の各分野、すなわち政治史、経済史、宗教史、社会史、思想史に関わる重要な史料(くずし字、活字)を、近世史の通史的展開にも配慮しながらテキストとして取り上げ、講読する。受講生は予めテキストとした史料を読んできたうえで、解読、書き下し文の作成、現代語訳などについて発表し、史料の理解を深める。
日本史学特別演習ⅡB-1 山陰地域の近世史の各分野、すなわち政治史、経済史、民衆運動史、宗教史、思想史などに関わる代表的な研究文献(論文、著書)を、鳥取藩、松江藩や幕領などの領域ごとの違いにも配慮しながらテキストとして取り上げ、講読する。受講生は予めテキストを読み、その内容の要約、疑問点などについて報告し、全員で議論して理解を深める。
日本史学特別演習ⅡB-2 山陰地域の近世史の各分野、すなわち政治史、経済史、宗教史、社会史、思想史に関わる重要な史料(くずし字、活字)を、鳥取藩、松江藩や幕領などの領域ごとの違いにも配慮しながらテキストとして取り上げ、講読する。受講生は予めテキストとした史料を読んできたうえで、解読、書き下し文の作成、現代語訳などについて発表し、史料の理解を深める。
日本史学特別演習ⅢA-1 本授業では、日本近現代史、歴史認識論、歴史資料論、歴史実践論などに関する最新の研究論文を講読して、基盤となる考え方を学び、歴史研究および歴史資料の専門家としての能力を養うことを目的としている。具体的には、明治時代以降の近代歴史学の歩みをテキストを使って輪読し議論ながら学ぶ。戦前の歴史学史においては、「近代実証主義歴史学の誕生」や「戦争と超国家主義歴史観」などが主要テーマとなる。戦後の歴史学史においては、「マルクス歴史学」や「近代批判と社会史研究」、「現代歴史学の展開」などが主要なテーマとなる。
日本史学特別演習ⅢA-2 本授業では、日本近現代史、歴史認識論、歴史資料論、歴史実践論などに関する最新の研究論文を講読して、基盤となる考え方を学び、歴史研究および歴史資料の専門家としての能力を養うことを目的としている。具体的には、歴史学の方法論を史学概論のテキストを輪読、議論することを通して学ぶ。「歴史学の目的」、「歴史学の効用」、「歴史学の対象とその認識」、「事実認識の可能性と限界」、「歴史学の境界」、「歴史学と文学」、「歴史学の主観性と客観性」、「歴史学の社会的責任」などが主要なテーマとなる。
日本史学特別演習ⅢB-1 本演習では、日本近現代史に関する歴史資料を読解する。その内容解釈や分析能力を養うとともに、日本近現代史をめぐる歴史像の形成手法を学ぶことを目的としている。具体的には、近現代史に関する資料集をテキストに用いて、「元老院文書」、「軍令機関文書」、「大日本帝国議会文書」、「外務省文書」、「内務省文書」、「大蔵省文書」などの近現代公文書を体系的に解読しながらその特徴を学ぶ。
日本史学特別演習ⅢB-2 本演習では、日本近現代史に関する歴史資料を読解する。その内容解釈や分析能力を養うとともに、日本近現代史をめぐる歴史像の形成手法を具体的に学ぶことを目的としている。具体的には、近現代史に関する資料集をテキストに用いて、「商工省文書」、「逓信省文書」、「厚生省文書」、「朝鮮総督府文書」、「関東都督府文書」、「府県庁文書」、「郡役所文書」、「市町村役場文書」などの近現代公文書を体系的に解読しながらその特徴を学ぶ。
東洋史学特殊講義Ⅰ-1 学部時代に学んだ中国史の基礎的知識を、より専門的な水準で理解し、各自の研究の出発点にしてもらうことを目的とする。具体的には、モンゴル帝国以前の中国史を、先秦・秦漢・魏晋南北朝・隋唐・両宋に時期区分し、各時期について、①最新の概説書(岩波新書中国の歴史シリーズのうち、丸橋充拓『江南の発展 南宋まで』を軸に、渡辺信一郎『中華の成立 唐まで』および古松崇志『草原の制覇 モンゴル帝国まで』を併用)の講読を通じて各時期の基礎的事実を確認し、②そうした基礎的事実の理解がどのような研究蓄積を通じて生まれたものなのかを学ぶ。この作業を、各時期ごとに反復しながら、進めていく。
東洋史学特殊講義Ⅰ-2 日本における歴史教育の現状について、「日本人の中国に対する理解の動向」を題材として把握することを目的とする。具体的には、まず担当教員が近年における歴史教育改革の現状と展望について講義し、次に大学教養課程向けテキスト(大阪大学歴史教育研究会編『市民のための世界史』)や高校世界史教科書、および『高等学校学習指導要領解説(地理歴史篇)』を用い、これらの記載内容を検討して、前期(東洋史学特殊講義I-1)において学んだ中国史学の先端的な研究成果が、どのような方法で市民に提供されているのかについて、その現状と課題を読み解いていく。
東洋史学特殊講義Ⅱ-1 中国の家族史・ジェンダー史について、最新の研究状況が反映されたテキストを読みながら通史的に講義を行います。論点となるのは、家族構造と家族原理の歴史的変化、儒教礼制と現実社会との関係、ジェンダーをめぐる心性の歴史的変容です。これらの論点についての考察を通して、中国社会の歴史的特質を理解するとともに、研究動向を整理・理解し、課題を考える力を養います。
東洋史学特殊講義Ⅱ-2 儒教史について最新の研究状況が反映されたテキストを読み、儒教思想についてより深い理解を導くとともに、特に儒教と政治・社会との関係に着目しつつ、研究動向を整理しながら通史的に講義を行う。特に論点になるのは儒教の徳治・礼治という概念と現実の国制や社会との関係である。これらの論点についての考察を通して、儒教と社会という視点から中国史の特性を理解するとともに、研究動向を整理・理解し、課題を考える力を養う。
東洋史学特別演習ⅠA-1 本演習は、古典漢文史料の読解力を向上させ、各自の研究において活用していくための基礎を学ぶことを目的とする「特別演習」の第1段階に位置する。使用するテキストは、最も基礎的なレベル=句読点付きの古典テキストとして南宋・袁枢撰『通鑑紀事本末』の中華書局本を使用する。受講生は各回講読箇所の訓読・解釈の予習を行って授業に臨み、担当教員の解説を通じて原案を修正する。その過程を毎回反復することを通じて、史料の「量を読みこなす」力の向上を図っていく。
東洋史学特別演習ⅠA-2 本演習は、古典漢文史料の読解力を向上させ、各自の研究において活用していくための基礎を学ぶことを目的とする「特別演習」の第2段階に位置する。使用するテキストは、第1段階にひきつづき、最も基礎的なレベル=句読点付きの古典テキストとして南宋・袁枢撰『通鑑紀事本末』の中華書局本を使用する。受講生は前期に課された各回講読箇所の訓読・解釈に加え、各記載の出典調べを行って授業に臨み、担当教員の解説を通じて原案を修正する。その過程を毎回反復することを通じて、古典読解に必須である「出典探索」力の向上を図っていく。
東洋史学特別演習ⅠB-1 本演習は、古典漢文史料の読解力を向上させ、各自の研究において活用していくための基礎を学ぶことを目的とする「特別演習」の第3段階に位置する。使用するテキストは、句読点のない白文テキストとして詔勅や上奏文(『文苑英華』中華書局本を使用)や論説文(『文献通考』自序)を読んでいく。受講生は各回講読箇所の訓読・解釈・出典調べの予習を行って授業に臨み、担当教員の解説を通じて原案を修正する。その過程を毎回反復することを通じて、白文史料の読解力向上を図っていく。
東洋史学特別演習ⅠB-2 本演習は、古典漢文史料の読解力を向上させ、各自の研究において活用していくための基礎を学ぶことを目的とする「特別演習」の第4段階に位置する。使用するテキストは、応用レベルのテキストとして墓誌や碑などの石刻史料(清・王昶撰『金石萃編』や各種拓本類を使用)を読んでいく。受講生は各回講読箇所の訓読・解釈・出典調べの予習を行って授業に臨み、担当教員の解説を通じて原案を修正する。その過程を毎回反復することを通じて、白文史料の読解力向上を図っていく。
東洋史学特別演習ⅡA‐1 宋代以後の中国史に関する著書、論文などを輪読し、当該研究分野に関する基礎知識をより専門的な水準まで深めるとともに、現在における新たな研究史の動向-一国史観の相対化とグローバルヒストリーの進展や社会史・ジェンダー史への着目等-について理解を深め、課題を考える力を養います。また、受講生による文献の要約と報告を通して、プレゼンテーション力も養成します。
東洋史学特別演習ⅡA-2 漢文史料の訓読と解釈を繰り返し、修士論文作成に必要な漢文史料の読解力を獲得することを主目的としています。テキストとして用いるのは、中国宋代の裁判史料『名公書判清明集』です。この史料は、宋代にどのような裁判事案が起こり、どのような判決が当時評価されていたのかを伝えるものです。本史料を正確に読み取っていくことを通して、中国社会の歴史的特質を理解していくことができます。
西洋史学特殊講義Ⅰ‐1 西洋近世の国制史に関する研究動向について講義する。地域性と政治文化の2つの論点に着目し、これら2つの論点に即して、現在における国制史に関する研究状況について理解するとともに、関連する史料についても知見を広げる。合わせて、関連する著書、論文などの輪読も行う。講義に際しては、受講生の関心に配慮して進める。
西洋史学特殊講義Ⅰ-2 西洋近世の社会史に関する研究動向について講義する。地域性と政治文化の2つの論点に着目し、これら2つの論点に即して、現在における社会史に関する研究状況について理解するとともに、関連する史料についても知見を広げる。合わせて、関連する著書、論文などの輪読も行う。講義に際しては、受講生の関心に配慮して進める。
西洋史学特別演習ⅠA‐1 国制史の方法について討論する。はじめに教員より、地域性と政治文化の2つの論点に関する情報提供を行う。後者との関連では、議会、裁判、都市、農村の4要素に着目してもらう。これらを参考にしつつ、関連する史料と基礎的な方法論に配慮して、報告を行ってもらう。演習を進めるに際し、受講生の専攻領域と関連させる。リサーチや分析を通じて、自分の考察及び結論を、論理的かつ説得力のある文章で表現する方法を学ぶ。
西洋史学特別演習ⅠA-2 修士課程1年次前期で得た知見も援用して、国制史の方法について討論する。はじめに教員より、西欧と東中欧の類似性と相違に関する情報提供を行う。この点に加えて、議会、裁判、都市、農村の4要素に着目してもらう。これらを参考にしつつ、関連する史料と基礎的な方法論に配慮して、報告を行ってもらう。演習を進めるに際し、受講生の専攻領域と関連させる。リサーチや分析を通じて、自分の考察及び結論を、論理的かつ説得力のある文章で表現する方法を学ぶ。
西洋史学特別演習ⅠB‐1 社会史の方法について討論する。はじめに教員より、地域性と政治文化の2つの論点に関する情報提供を行う。後者との関連では、コミュニケーション、言論活動、出版文化、識字率の4要素に着目してもらう。これらを参考にしつつ、関連する史料と基礎的な方法論に配慮して、報告を行ってもらう。演習を進めるに際し、受講生の専攻領域と関連させる。リサーチや分析を通じて、自分の考察及び結論を、論理的かつ説得力のある文章で表現する方法を学ぶ。
西洋史学特別演習ⅠB-2 修士課程1年次前期で得た知見も援用して、社会史の方法を討論する。受講生の専攻領域との関連に配慮する。はじめに教員より、西欧と東中欧の類似性と相違に関する情報提供を行う。この点に加えて、コミュニケーション、言論活動、出版文化、識字率の4要素に着目してもらう。これらを参考にしつつ、関連する史料と基礎的な方法論に配慮して、報告を行ってもらう。演習を進めるに際し、受講生の専攻領域と関連させる。リサーチや分析を通じて、自分の考察及び結論を、論理的かつ説得力のある文章で表現する方法を学ぶ。
西洋史学特別演習ⅡA‐1 政治文化論の方法について討論する。はじめに教員より、地域性と政治文化の関連に関する情報提供を行う。後者との関連では、宮廷集会、反乱、政略結婚、官職売買の4要素に着目してもらう。これらを参考にしつつ、関連する史料と基礎的な方法論に配慮して、報告を行ってもらう。演習を進めるに際し、受講生の専攻領域と関連させる。リサーチや分析を通じて、自分の考察及び結論を、論理的かつ説得力のある文章で表現する方法を学ぶ。
西洋史学特別演習ⅡA-2 修士課程1年次前期で得た知見も援用して、政治文化論を討論する。はじめに教員より、西欧と東中欧の類似性と相違に関する情報提供を行う。この点に加えて、宮廷集会、反乱、政略結婚、官職売買の4要素に着目してもらう。これらを参考にしつつ、関連する史料と基礎的な方法論に配慮して、報告を行ってもらう。演習を進めるに際し、受講生の専攻領域と関連させる。リサーチや分析を通じて、自分の考察及び結論を、論理的かつ説得力のある文章で表現する方法を学ぶ。
記録史料学特殊講義Ⅰ 日本の近世における藩政資料、武家文書、商家文書、町方役人文書、村方文書、寺社家の文書などの文書群に即して、各組織体あるいは経営体における文書管理のあり方について講義する。文書群の具体例としては、山陰地域に所蔵される文書群を主に取り上げて、地域的な特徴に即した理解が得られるようにする。また文書群の整理方法と目録編成等についても扱う。
記録史料学特殊講義Ⅱ 本講義では、近現代の記録史料に関する管理・保存・公開のあり方について講義する。具体的には、近現代文書の保存・管理・公開に関する総論から講義して、「公文書の保存・管理」、「民間所在の近現代文書」、「自治体史の編纂と近現代文書」、「戦争と近現代資料」、「人口減少社会と地域資料」、「大規模自然災害と資料保存」、「音声資料と映像資料」などが主要な講義テーマとなる。最後に、各受講学生は近現代の記録史料に関するレポートを課題としてまとめ、講義を通して学んだことの定着を図る。
アーカイブズ管理論特殊講義Ⅰ この授業は、アーカイブズ学の理論と原則を前提に、アーカイブズ資料を管理・保存し、利用可能にするための方法論についての知識を習得し、アーカイブズ管理のための諸業務や施設運営の仕方について理解することを目標とする。具体的には、アーカイブズ・システムを立ち上げる際の構想と設計から、資料の移管と受入れ、編成と記述、保存と危機管理、公開と利用、展示・普及活動まで、アーカイブズ管理に関わる業務全般について講義する。また、それぞれの業務ごとに、受講生には関連する具体的事例について調査し、報告してもらう。事例報告を通した議論を行うことで、アーカイブズ管理の方法論が具体的な業務にどのように適用され、いかなる課題が生じているのかについて理解を深め、実践的に応用可能な知識を身につける。
アーカイブズ管理論特殊講義Ⅱ この授業は、記録管理に関わる理論と原則を前提に、組織の記録作成時からの管理・保存・処分に関わる方法論についての知識を習得し、記録管理のための諸業務や記録管理システムの運用の仕方について理解することを目標とする。具体的には、エリザベス・シェパード、ジェフリー・ヨー共著/森本祥子ほか訳『レコード・マネジメント・ハンドブック』(2016年)をテキストとして用いて、記録管理の目的から、機能分析、記録の分類スキームの設定、記録管理システムの構築、リテンション・処分スケジュールの設定、長期保存計画、検索手段とアクセス方針の策定まで、記録管理に関わる業務全般について講義する。また、それぞれの業務ごとに、受講生には記録管理のための関連法制や各種標準、マニュアル等について調査し、報告してもらう。報告を通して具体的な標準等の理解を深め、実際の記録管理システムに適用する際の諸問題について議論することで、実践的に応用可能な知識を身につける。
アーカイブズ学理論特殊講義Ⅰ この授業では、アーカイブズ学の基礎的な理論や原則について理解し、その基礎理論を社会的変化に応じて問い直したり、現場での実践に応用するための批判的思考力を身につけることを目標とする。まず、アーカイブズの定義を理解し、資料を管理するための方法論である編成・記述論、評価選別論の基礎を把握する。その上で、電子記録の登場以来その必要性が唱道されてきた、記録の作成時点からの管理のためのポスト保管アプローチについて学び、このアプローチを支える新たな理論として登場したレコード・コンティニュアム論について講義する。そして、ポスト保管時代に求められる記録管理のあり方について、アカウンタビリティや情報ガバナンスとの関連から論じ、現代情報社会に求められる記録管理専門職の役割について考える。講義の後半では、欧米の研究文献を受講生とともに読み進め、理論の再考を促す問いの立て方や実際的諸課題への応用のされ方について学ぶ。
アーカイブズ学理論特殊講義Ⅱ この授業では、アーカイブズ学の理論や方法論が現代社会の諸課題に直面して、どのように批判的検討が加えられ、欠点を克服する新たなアプローチが試みられているかを理解し、基礎理論を社会の多様な諸課題に応じて問い直したり、現場での実践に応用するための批判的思考力を身につけることを目標とする。特に、現代アーカイブズ学で中心的に議論されているアーカイブズと記憶の問題系、すなわち、資料を作成し、管理し、保存し、公開することがはらむ権力性と、社会的に周縁化された集団等による資料への新たな価値づけがもたらす意義と諸問題について論じる。また、抽象的な理論がなぜ必要とされ、いかに適用されているかについて、オーストラリア先住民とアーカイブズをめぐる問題やイギリスにおけるコミュニティ・アーカイブズの実践など、具体的事例を通して講義する。さらに、記憶論、資料記述論、コミュニティ・アーカイブズ論、ユーザー参加型アプローチ等、隔回で取り上げるテーマの理解をより深めるために、欧米の研究文献を受講生とともに読み進め、理論の適用・応用のされ方やその限界について考える。
本講義の受講生は、「アーカイブズ学理論特殊講義Ⅰ」を受講していることが望ましい。
アーカイブズ学特殊講義 アーカイブズ学は、フランス革命以降の近代ヨーロッパで成立し、20世紀後半に世界的に普及し、日本でも独自の展開をみせている。それゆえ、アーカイブズとは何か、アーカイブズ学とはどのような学問であるかをめぐっても、地域的多様性や時代状況の変化を伴いながら、さまざまに論じられてきた。そこで、本講義では、まず、西欧の前近代から近代にかけてのアーカイブズ管理のあり方を概観し、近代ヨーロッパにおいて、アーカイブズ学がいかに科学として成立してきたのかを論じる(第2回~第4回)。また、20世紀以降のイギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリアにおけるアーカイブズ学の理論と実践の発展過程とその特徴について講義する(第5回~第8回)。次に、20世紀後半から現代にかけての日本におけるアーカイブズ学の展開をたどり、公的機関のアーカイブズから、大学、企業、コミュニティのアーカイブズまで、管理の対象や担い手が多様化しつつある現状を概観する(第9回~第13回)。最後に、専門職としてのアーキビストに求められるものとは何か、その役割と特性について考える(第14回)。以上のような世界と日本のアーカイブズの歴史から、アーカイブズの本質と資料を管理することの意義について理解する。
アーカイブズ学特別演習A アーカイブズ資料の構造やコンテクストを調査・検討し、適切な方法で整理・記述を行うための方法論を理解し、資料の編成・記述の演習を通じて、実践的な能力を身につけることを目標とする。具体的には、資料管理のための諸原則であるフォンド尊重原則、現秩序維持原則、出所原則について理解し、資料記述の国際標準であるISAD(G)等について講義する。また、電子記録管理のためのメタデータ標準についても論ずる。さらに、資料群の階層的把握に拠らない、より柔軟な記録と作成者、業務機能との関係を把握するシリーズ・システムに基づく編成・記述の方法論についても講義する。その上で、受講生各自の関心に沿って、階層構造に基づく編成・記述とシリーズ・システムに基づく編成・記述のそれぞれについて実際の資料を想定した演習を行い、実践に応用可能な能力を身につける。また、近年、新たに国際標準化の議論が進んでいるアーカイブズ記述標準Records in Context(RiC)についても論及する。
アーカイブズ学特別演習B この授業では、記録管理とアーカイブズ管理を統合するレコードキーピングの考え方に基づき、組織の記録管理のためのシステム・デザインの基本的な考え方を理解する。また、実際の組織を想定したシステム設計のためのプロジェクトの実施プロセスの計画立案を経験することで、実務に応用可能な専門的能力を身につけ、専門職としての職務遂行に必要なマネジメント能力を養うことを目標とする。授業の前半では、記録管理に関わる法制、標準、指針について理解し、記録管理のための業務分類とメタデータ付与、リテンション・処分スケジュールの設定、アクセス制御と検索システムの構築、危機管理対策と業務継続性プランの策定、モニタリング、監査、リスク・マネジメントの計画と実施、電子記録の長期保存措置について講義する。授業後半では、レコードキーピング・システムを計画・実施するための演習を行う。具体的には、まず、システム・デザインのためのプロジェクト・マネジメントの技法を理解し、受講生が具体的に対象とする組織を定め、その組織のレコードキーピング・システム設計のための要件の整理、組織の機能と業務分類に関する調査、リテンション・スケジュールの設定のための課題整理、情報ガバナンス戦略の策定等を行い、最終的にシステム設計の仕様書を作成し、成果報告と総括討論を行う。受講生が実際にレコードキーピング・システムの設計の仕方を学ぶことで、組織を取り巻くステークホルダーに配慮したシステム運営の実践的方法を身につけることを目指す。
アーカイブズ特別実習 本実習は、授業での事前・事後学習と、島根県やその近隣各県のアーカイブズ機関等における実習によって構成する。事前学習では、実習の全体計画の策定、実習内容の計画と自己評価方法の策定を行い、実習施設に関する予備調査・研究を実施するとともに、資料の基本的な取り扱い、アーキビストとしての行動基準等を指導する。以上の事前指導を経て、実地研修を行う(10日分相当の研修を想定)。実習後には、成果報告を行い、現場で求められる能力や課題についての理解や考察を深める。実習体験を通じて、資料管理の現場で求められる技能や施設運営における課題を的確に把握する能力、また、アーキビストやレコード・マネジャー等の専門職としての自己評価、判断能力を身につける。
資料保存論 博物館における資料保存の意義、博物館資料の適切な保存環境、IPM(総合的有害生物管理)などによる博物館資料の適切な保全・保存の方法について理解する。地域資源・文化財・自然環境の保護と博物館の役割について学ぶ。
社会福祉学特殊講義Ⅰ  本授業の目的は、地域福祉の実践、基礎的概念、および研究方法の3点について学ぶことである。事例として、住民による地域福祉活動、市町村福祉行政・福祉計画、および地域福祉を担う専門職、の3つを取り上げる。住民・行政・専門職の三者が協働して福祉資源を開発する実践に着目する。その上で、地域を基盤とした福祉形成の到達点と現状の課題ついて考察する。
社会福祉学特殊講義Ⅱ  この授業では、障害者福祉に関する学術論文及び専門書の精読、視覚的教材等の活用を通じて、障害者福祉の研究動向を概観する。最近の研究動向や研究課題の確認を通じて、障害者福祉に関連した社会問題が起こる背景や、問題の構造等を理解する。
社会福祉学特殊講義Ⅲ  国内外における子どもと家庭に関する社会福祉・ソーシャルワークについて理解を深めることを目的とする。虐待や家族間の暴力など、子どもと家族をめぐる社会問題を中心に議論する中で、社会福祉の支援者やそのほかの専門職の役割などを考える。
社会福祉学特殊講義Ⅳ  医療政策、なかでも医療提供体制の変化を理解したうえで、医療ソーシャルワーカー業務の現状と課題について理解する。医療ソーシャルワーカー業務については、社会・経済的格差、社会的孤立との関連が深い、経済的問題の解決・緩和、地域活動を主に取り上げる。
社会福祉学特殊講義Ⅴ  本授業では、マイノリティの捉え方について深く考察することを目標とする。例えば人数的には決して少なくなくても、女性、アメリカの黒人やヒスパニックなど、社会の構造や意識によって著しく不利益を蒙っている人々、同性愛者、ロヒンギャやクルドのように時には攻撃対象となる人々はなぜ生じるのか、それを生み出す社会そのものやマジョリティとの関係について考察する。
社会福祉学特殊講義Ⅵ  学校という場において、児童・生徒が抱える問題をソーシャルワークの理念と方法に基づき、学校はもとより関係機関等と連携し、子どもたちが安心して教育を受けることができる条件を整備していく具体的実践の方法を知り、理解を深める。
社会福祉学特別演習ⅠA  本授業の目的は、地域福祉の方法論を、住民の地域福祉活動を事例として学ぶことである。特に、住民主体の地域福祉活動とそれを支援する専門職の役割について考察する。コミュニティワークならびにコミュニティソーシャルワークの方法論を学ぶとも言える。これらに関連する論文を講読しながら、授業を進める。
社会福祉学特別演習ⅠB  本授業の目的は、地域福祉の方法論を、市町村の福祉行政活動および福祉計画策定を事例として学ぶことである。特に、地域福祉計画の策定過程について考察する。また、市町村の地域福祉政策にも着目する。自治体政策の側面から地域福祉の方法論を学ぶとも言える。福祉計画・政策に関連する論文を講読しながら、授業を進める。
社会福祉学特別演習ⅡA  この授業では、論文精読やディスカッション等を通じて、障害者福祉の分野で取り組まれている研究動向を概観するとともに、自らの関心のある研究課題を探求する。また定性的(質的)研究法を中心に、調査方法、分析方法などの研究手法の理解を深める。
社会福祉学特別演習ⅡB  この授業では、これまで学んだ知識とスキルを活用し、研究計画の作成、定性的(質的)研究法を中心に、自らが用いる研究方法を検討し、障害者福祉の分野において調査研究を実施する力を習得する。定期的な研究発表やディスカッションを通じて、研究スキルやプレゼンテーションスキルを習得する。
社会福祉学特別演習ⅢA  子ども家庭福祉に関する基礎的理論、近年の研究動向や事例などについて文献の精読を通して学ぶ。受講生の研究関心に沿った文献を選定し、講読する演習形式で授業を行う。社会福祉に関する基礎的な知識を身に着けた上で、自らの研究課題を設定しそれにあった研究方法を模索する。
社会福祉学特別演習ⅢB  子ども家庭福祉に関する基礎的理論、近年の研究動向や事例などについて文献の精読を通して学ぶ。受講生の研究関心に沿った文献を選定し、講読する演習形式で授業を行う。社会福祉に関する基礎的な知識を身に着けた上で、自らの研究課題を設定しそれにあった研究方法を模索する。
社会福祉学特別演習ⅣA  日本、イギリス(イングランド)の医療ソーシャルワーク、なかでも入退院支援に関する研究動向を把握・検討したうえで、日本の医療ソーシャルワークへの示唆を得る。また、近年の研究方法の特徴についても理解できるようにする。
社会福祉学特別演習ⅣB  地域包括ケアのなかで、福祉主導の典型である見守りと、保健・医療主導の重要な構成要素である病院・診療所などとのつながりの現状と課題を、先進事例分析を通して学ぶ。具体的には、住民組織などによる日常の見守りと、見守りの対象者が急病などになったときの関連機関・職種の連携・協働を中心に検討する。
社会福祉学特別演習ⅤA  多文化的背景をもとにしたソーシャルワークのスーパービジョンについてケース研究を行う。またロールプレイによるスーパービジョンやソーシャルアクションのシミュレーションも行う。
社会福祉学特別演習ⅤB  国際的NGO等で現地において実践するソーシャルワークや、日本国内への移民受け入れや定住支援におけるソーシャルワークについて実践事例を検討し、援助計画の立案や社会資源の活用について考察を深める。
社会福祉学特別演習ⅥA  本演習は文献講読からスクールソーシャルワークの研究動向を概観し、その後、ディスカッションや自身の研究テーマについてのプレゼンテーションを行うことで、修士論文作成への足がかりを作る。
社会福祉学特別演習ⅥB  本演習は社会福祉学特別演習ⅥAを踏まえ、これまで学んできた知識やスキルを活かしながら論文作成を進めて行く。また、定期的にプレゼンテーションとディスカッションを実施し、ブラッシュアップを図る。

履修モデル・時間割(人文社会コース)[PDF:613KB]